誤読と曲解の読書日記

読書の感想を書く日記です。あと、文具についても時々。

岩波新書

廃仏毀釈から見る同調圧力/安丸良夫『神々の明治維新』岩波新書

廃仏毀釈から見る同調圧力/安丸良夫『神々の明治維新』岩波新書:目次 「あとで」は永久にやって来ない ようやく日の目を 「同調圧力」の源流 twitterでの紹介 参考リンク ※今回の記事はいつもの読書日記ですが、同時に今週のお題「下書き供養」に便乗する…

過去の遺物ではない後醍醐天皇という存在とその企て/兵藤裕己 『後醍醐天皇』岩波新書

過去の遺物ではないことを明らかに 兵藤裕己 『後醍醐天皇』岩波新書。「賢才」あるいは「物狂」と相反する評価の下る後醍醐天皇像に迫る一冊。後醍醐天皇の企てが明治政府、そして現代の天皇制にまで影響を与えているとの指摘が刺激的。後醍醐天皇の存在と…

イスラーム主義の理解への一歩/末近浩太『イスラーム主義』岩波新書

末近浩太『イスラーム主義』岩波新書。イスラーム主義や中東政治とは何かという基本を押さえながら、現代中東の混迷から「もう一つの近代」を模索していく本。読み進めていくに連れ、イスラーム主義や中東政治について、自分は実はまったく何も知らないこと…

『至上の愛』のさらにその先にあるもの/藤岡靖洋『コルトレーン ジャズの殉教者』岩波新書

『至上の愛』のさらにその先にあるもの/藤岡靖洋『コルトレーン ジャズの殉教者』岩波新書:目次 今日的なテーマを含むコルトレーンの音楽 黒人差別への怒りと公民権運動への共感 至上の愛を求めて 参考リンク 今日的なテーマを含むコルトレーンの音楽 藤岡…

「トランプ王国」はどこへ向かっていくのか/金成隆一『ルポ トランプ王国 もう一つのアメリアを行く』岩波新書

「トランプ王国」はどこへ向かっていくのか/金成隆一『ルポ トランプ王国 もう一つのアメリアを行く』岩波新書:目次 陸続きの日本人たちとトランプ支持者たち ミドルクラスから貧困層へ滑る落ちる不安 単純だった世界は取り戻せない 最貧困地域と人種差別 …

わたしたちの意思が適切に反映されるための方策を探る一冊/坂井豊貴『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』岩波新書

わたしたちの意思が適切に反映されるための方策を探る一冊/坂井豊貴『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』岩波新書:目次 人々の意思をよりよく集約できる選び方を探る 多数決なるものが、絶対的に正しいものではない 多数決に正当性を与えるために 憲法…

疑問を抱き、言葉にして問い続けること/国谷裕子『キャスターという仕事』岩波新書

疑問を抱き、言葉にして問い続けること/国谷裕子『キャスターという仕事』岩波新書:目次 テレビ報道の危うさや難しさを知り尽くしているからこそ 同調圧力に抗するために 「待つこと」と「沈黙すること」 ひとりのテレビ視聴者として 参考リンク 国谷裕子…

物足りなさと過剰さが同居する一冊/十川信介著『夏目漱石』岩波新書

物足りなさと過剰さが同居する一冊/十川信介著『夏目漱石』岩波新書:目次 評伝ではあるが…... 作品と生涯の関係 参考リンク 評伝ではあるが…... 十川信介著『夏目漱石』岩波新書。本書は、タイトルどおり、夏目漱石の生涯を描く評伝である。漱石の出生から…

緩慢で漸進的で迂回的であっても/渡辺将人『アメリカ政治の壁−利益と理念の狭間で』岩波新書

暗澹とした気分にさせられる一冊 2016年のアメリカ大統領選挙の本選挙では、事前の大半の予想を覆し、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利した。政治経験のないトランプ氏は、既存の政治勢力から見ればアウトサイダーであり、彼の大統領としての手腕に期待と…

フランスの歴史の手引書として/柴田三千雄『フランス史10講』岩波新書

フランスの歴史をコンパクトにまとめた通史 わたしはフランスの歴史について、ほぼ何も知らない。まったく何も知らないと言っていいだろう。もちろん、学校ではひととおりの歴史は習ったので、その歴史の中に出てくるフランスの歴史的な出来事や人物は、「学…

辞書という楽しみ〜増井元『辞書の仕事』岩波新書

本書を読んだ後では、辞書を引くことがより楽しく豊かなものになること間違いなしと言っても過言ではないだろう。辞書を使う目的は、言葉の意味や使い方を調べることだ。 しかし本書を読んだ後は、そのような実用的な使い方にとどまらず、辞書そのものを読む…