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誤読と曲解の読書日記

読書の感想を書く日記です。あと、文具についても時々。

靴紐をうまく結べない自分を正当化し続けてきた人生にサヨナラを告げたスニーカー/今週のお題:お気に入りのスニーカー

今週のお題「お気に入りのスニーカー」

靴紐がうまく結べない

わたしは靴紐を結ぶのが苦手なのです。なぜならリボン結び、いわゆるチョウチョ結びがうまくできないから。だから、革靴やスニーカーの紐を結ぶのに、いつも四苦八苦しています。

じゃあ、今まで靴紐を結ぶのをどうしてたのかというと、とにかくトライアンドエラーの繰り返し。つまりは結んでは解き、結んでは解きの繰り返しをすることになる。それで(ほとんど偶然にも)できた結び目を、なるべく解けないように、解けないようにと、心の中で祈りながら履くわけです。

しかし、トライアンドエラーの繰り返しだとちゃんと靴にチョウチョの綺麗なかたちができることはまれで、ほとんどのケースで縦結びになってしまうことがほとんどでした。実に不器用ですね。

それでもどうにか、たまに奇跡的なチャンスがめぐってくるもので、なにかのはずみでふと、きれいなチョウチョ結びにできるときがやってくるのです。偶然の瞬間をとらえるという感じですかね。しかし、それはあくまでも偶然の瞬間をとらえるに過ぎません。

トライアンドエラーを繰り返すことで、チョウチョ結びができるようになったのかというと、これが見事に身につかなかったんですね。チョウチョ結びをつくるための理論、つまり、紐をどう持ってどう動かせばいいのかという順序が、そもそも頭に入っていない。だから、チョウチョ結びをつくるための実際の指先の動かし方、つまりはチョウチョ結びをつくるためのスキルが身についていない。

わたしのこれまで歩んできた人生のなかで、うまくできたチョウチョ結びというものは、そのほとんどが偶然の産物に過ぎないわけです。だから、今ここで、チョウチョ結びをやってみろと言われても、できない自信の方が大きい。

どれだけ不器用なんだと言われそうですが、できないものはできない。人間向き不向きがあって、わたしには靴紐を結ぶ能力というかスキルというか、とにかくそういうものが致命的に欠落しているようで、こればっかりは仕方ない。どれだけ練習しても身につかないものは身につかない。人間どんなに努力しても克服できない類のものがたくさんある。

とにかく、そんな感じで、靴紐をうまく結べない自分を正当化し続けてきた人生でした。

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飛び跳ねる野心に跳び乗って、行き着くところまで駆け抜ける/W・シェイクスピア(福田恆存訳)『マクベス』新潮文庫

飛び跳ねる野心に跳び乗って、行き着くところまで駆け抜ける/W・シェイクスピア福田恆存訳)『マクベス新潮文庫:目次

  • 飛び跳ねる野心に跳び乗って、行き着くところまで駆け抜ける
  • きれいは穢い、穢いはきれい
  • 鞍ごしに向う側に落ちるのが関の山
  • 参考リンク

飛び跳ねる野心に跳び乗って、行き着くところまで駆け抜ける

ウィリアム・シェイクスピア福田恆存訳)『マクベス新潮文庫は、スコットランドの武将マクベスが、心の奥底に抱いていた野望に気づき、その野望に従って次々に悪を重ねていく物語。シェイクスピアの四大悲劇(他には『ハムレット』『リア王』『オセロー』)のうち、『マクベス』は一番最後に書かれたものとされる。

マクベス』は、人間の悪や罪、それに弱さやもろさを描き出す物語だとも言える。主人公のマクベスは、勇猛果敢な武将としてスコットランドのダンカン王に一目置かれるほどの人間だが、心の奥底では自らですら恐れおののくような野心を抱いている。その野心に気付いたとき、マクベスは悪に突き動かされ、罪を重ねてゆくのだ。

短い物語だが、マクベスが次々に悪を重ねていく部分が、まさに坂道を転げ落ちてゆくかのような疾走感にも似たものがある。本書に登場する言葉を使うと、飛び跳ねる野心に跳び乗って、行き着くところまで駆け抜けるかのようだとも言い換えることができるだろう。それだけに、この物語にはサスペンス的なテンポの良さがある。

次々に悪を重ねるマクベスは、自分のやってしまったことにおびえ、震える弱さやもろさを持った人間でもあるが、それゆえに破滅へと突き進んでしまう。しかし、マクベスの抱く悪や罪、それに弱さやもろさは、わたしたちもまた大なり小なり抱えているものなのかもしれない。

もちろん、王位を簒奪したり、人を次々に殺めるといった大きな悪や罪をわたしたちが抱えることはないが、心の奥底に秘めた野心や欲望、時にそれに突き動かされてしまって手痛い失敗をしてしまった経験のひとつやふたつはあるだろう。その意味では、わたしたちもまた、大なり小なりマクベス的なものを抱えているのだ。
Macbeth_1055


※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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鮮やかな色使いの新しいペンケース/UNITED BEES ペンケース

鮮やかな色使いの新しいペンケース/UNITED BEES ペンケース:目次

  • 古いペンケースがくたびれてきたので
  • 鮮やかな色使いの新しいペンケース
  • はじめてのUNITED BEES
  • 参考リンク

古いペンケースがくたびれてきたので

かれこれ5、6年(あるいはそれ以上)使ってきたペンケースが、さすがにくたびれてきたので、新しいペンケースを買うことをここ1ヶ月ほど考えていました。

古いペンケースは布製のもので、外側はネイビー、内側はブルーとホワイトのストライプ。シンプルなデザインで、ブランドやメーカーのタグがないので、どこで購入したどこのメーカーのものなのかは不明です。

この古いペンケースはデザインがシンプルで、容量もそこそこ入っていたので、けっこう気に入って使っていたものです。鉛筆や朱藍鉛筆、4色ボールペンに万年筆、定規にカッター、消しゴム、ミニふせん、鉛筆削りまでぎゅうぎゅうに詰め込んでいました。それだけの収納力があったので、長く使ってきたのです。そのため、どこに行くにも一緒に連れていった記憶があります。

しかし、長いこと使ってきたので、さすがに外側のネイビーの色が褪せてきた上に、内側はホコリやゴミまみれになって、汚れも気になっていたところでした。

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『騎士団長殺し』読んでます/2017年2月のまとめ

騎士団長殺し』読んでます/2017年2月のまとめ:目次

  • 騎士団長殺し』読んでます
  • 『誤読と曲解の読書日記』今月のまとめ
  • 『誤読と曲解の映画日記』今月のまとめ
  • 管理人よりお知らせ

騎士団長殺し』読んでます

村上春樹の『騎士団長殺し』、早速発売日に入手して読んでいます。今月の後半は個人的に忙しく、その余波がまだあるので、ようやく第1部を読み終わるあたりですが。

ですがここまで読んでみて、たくさんの謎が散りばめられ、先へ先へと誘う筆力はさすがだと言えますね。この物語が主人公をどこへ運び去ってしまうのか、早く結末までたどりつきたいと思う一方で、結末までたどりついてしまうのがもったいないというか惜しいという思いもあります。それはもっとこの物語の世界に没入していたい、みたいなことです。


それでは、今月の『誤読と曲解の読書日記』と『誤読と曲解の映画日記』のまとめです。

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滑稽さと面白みの中にある物悲しさと薄ら寒さ/R・ラードナー(加島祥造訳)『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』新潮文庫(村上柴田翻訳堂)

滑稽さと面白みの中にある物悲しさと薄ら寒さ/R・ラードナー(加島祥造訳)『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』新潮文庫(村上柴田翻訳堂):目次

  • 誰かが誰かに語りかける物語
  • 実にアメリカ的な陽気な笑い
  • 人間を噛みすてるような諷刺性
  • 「ハーモニイ」を求める姿
  • 人と人との調和
  • 参考リンク

誰かが誰かに語りかける物語

リング・ラードナー加島祥造訳)『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』新潮文庫(村上柴田翻訳堂)には、13の短編が収められている。訳者解説によると、リング・ラードナーの書いた短編は、120にものぼるようだ。この本は訳者の加島祥造氏が愛好し、「ラードナーの特色をもよく表わすと思える」(訳者解説p442)短編作品を選び出した『傑作選』となっているものだ。

この本を読んでいくと、わたしたちは本を読むというより、むしろ語り手たちの声に耳を傾けているかのような感覚に陥る。ここに収められた短編では、その多くが誰かが誰かに語りかける形式をとっている。だから、わたしたちは読書というよりも誰かの話を聞いているように思えてくるのだ。その点が、この傑作選の大きな特徴になっている。

また、この傑作選のタイトルでもある「アリバイ・アイク」は、この本の冒頭に収められた短編。「アリバイ・アイク」とは、とにかく何かをするたびに(それが良い結果をもたらしたものであれ、悪い結果をもたらしたものであれ)、「あれはこうだったから、ああなってしまったんだよ」と、弁解する野球選手につけられたあだ名のことある。

ここでの「アリバイ」とは、「弁解」「言い訳」を意味する。アリバイ・アイクのような人物が自分の身近にいたら、おそらくは実に腹立たしく、そして同時に滑稽に思ってしまいそうだが、語り口のおかげでユーモラスな物語となっている。

最後には、アリバイ・アイクのこれから先の人生も、その「アリバイ」のおかげで、「ああ、これじゃあ、うまくいくはずのものもダメになるだろうなあ……」と、脱力感と残念さの入り混じった予感を抱かせるものになっている。まあ、この"脱力感”や”残念さ"みたいなものが、この作品の魅力なのではあるが。

『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』に収められた短編は、この「アリバイ・アイク」のような「実にアメリカ的な陽気な笑いに満ちた」(訳者解説p446)物語がある一方で、「人間を噛みすてるような諷刺性をもつ」(訳者解説p446)物語とに大きく分類できる。
Baseball

※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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