誤読と曲解の読書日記

読書の感想を書く日記です。あと、文具についても時々。

生きる上で欠かすことのできない物語/小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書

生きる上で欠かすことのできない物語/小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書:目次

  • 生きる上で欠かすことのできない物語
  • 誰もが日々日常生活の中で作り出していく物語
  • そんなものを自分が持っていたと気づいていないような落し物
  • 子どものうちに物語に触れる大切さ
  • 参考リンク

この記事は、Amazonほしい物リストから届いた本についての感想です。
改めまして、厚く御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

生きる上で欠かすことのできない物語

小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書

本書はタイトルにもあるとおり、作家の小川洋子氏が「物語の役割」について語ったことを、一冊の本にまとめたものだ。小説や児童文学といった物語の世界をより深く知るために、「物語に最も近い場所にいる人間」(本書p9)である作家自身が語った言葉を収めている。

物語とは何かということからはじまり、作家が世界を丹念に観察し、世界の観察から物語が作家の中でどのように紡がれていくかという小説の創作過程までをも、自身の子ども時代からの読書体験とともに率直に語っていく一冊となっている。

作者小川洋子氏が語るように、わたしたちは本書を読むと「ああ、本を読むことは何と素晴らしいことであろうか」(本書p8)と再確認でき、ますます物語の世界が愛おしく思え、さらには生きる上で欠かせないものなのだという思いを改めて抱くことができる。やっぱり物語の世界に触れ、どっぷりと浸ることは素晴らしい体験をすることであり、人間にとって素晴らしい行為であるなあと、わたしは本書のあちこちで共感できた。

本書で語られたことは小説を読む人ならば、その物語がなぜ人々の心を揺さぶり、感動させることができるのかという物語の役割を、共感を持って理解できるのではないだろうか。


※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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【お礼とご報告】ほしい物リストから本が届きました

ほしい物リストから本が届きました

このブログで公開しております「ほしい物リスト」から、本が届きました。
Amazonほしい物リストの性質上、どなた様が送られてきたのか、こちらからはわかりませんので、この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

届いた本は、小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書 です。

取り急ぎ、ご報告でした。

『誤読と曲解の読書日記』管理人:のび


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『誤読と曲解の読書日記』管理人:のび
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4つの「暮らしの改善法」/今週のお題:「2018年の抱負」

4つの「暮らしの改善法」/今週のお題:「2018年の抱負」:目次

  • 「暮らしの改善法」
  • なるべく知らない人に微笑む
  • 少しだけでも世界をあたたかい場所に
  • 参考リンク

この記事は、はてなブログ今週のお題「2018年の抱負」に参加するものです。

「暮らしの改善法」

アメリカの作家ポール・オースターに『トゥルー・ストーリーズ』というエッセイ集があります(翻訳は柴田元幸氏で新潮文庫から出ています)。

オースター自身や彼の身近な人々が遭遇した、人知を超えたような偶然体験をつづった「赤いノートブック」や、作家として世に出るまでの無名時代の貧乏暮らしにユーモアを織り交ぜながら語る「その日暮らし」など、この本は柔らかかつ軽やかな文章の中にも、人生の醍醐味の深い味わいを感じられるエッセイ集となっています。

この『トゥルー・ストーリーズ』に収められたエッセイの中のひとつに、「ゴサム・ハンドブック」なるタイトルの短めの文章があります。サブタイトルに「S・Cのためのニューヨーク・シティ暮らしの改善法」とあるとおり、ニューヨークという大都市でのより良い暮らし方のアドバイスといった内容のエッセイです。

※ちなみに、ここの「S・C」とは、フランスの現代美術家ソフィ・カルのことを指すようです。本書によると、ソフィはこのエッセイに書かれたアドバイスを元に暮らした記録を本にまとめたというもの。『ダブル・ゲーム』というタイトルで、日本ではおそらく未翻訳。

さて、ここに収められた「暮らしの改善法」では、4つのアドバイスがなされています。わたしはこの「暮らしの改善法」を、「2018年の抱負」に掲げたいと思い立ったわけです。

その4つのアドバイスとは以下のとおり。
1.「笑顔」
2.「知らない人と話す」
3.「物乞いやホームレス」
4.「一点を育む」

わたしはニューヨークという大都会ではなく、九州の片田舎に暮らしていますが、ここで書かれていることはニューヨークでも九州でも、あるいは他のどんな場所でも通用するはずです。


※以下、本書の内容についてネタバレ的な要素が含まれています。

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2017年最後の更新。そして少々の言い訳と来年の抱負。/『誤読と曲解の読書日記』2017年12月のまとめ

2017年最後の更新。そして少々の言い訳と来年の抱負。/『誤読と曲解の読書日記』2017年12月のまとめ:目次

  • 少々の言い訳と来年の抱負
  • 『誤読と曲解の読書日記』今月のまとめ
  • 『誤読と曲解の映画日記』今月のまとめ
  • 管理人からのお知らせ:Amazonほしい物リスト

少々の言い訳と来年の抱負

『誤読と曲解の読書日記』、今年最後の更新です。

今年は管理人が少々多忙だったため、なかなか更新できない時期もありましたが、なんとかまた1年間更新することができました。

本当はもっとここで紹介した本や文具がたくさんあるのですが、なかなかブログを書く時間が取れなくて……、というのは言い訳ですね。あとは、何度もこのブログで言及したと思いますが、わたしは文章を書くのが下手なので、記事を書くのにも時間がかかるのです……。

来年はもっと記事を書くスピードを上げて、更新頻度をあげられるといいなあと思っています。はてなブロガーとしての来年の抱負です。去年も同じことを言ったような気もしますが……。

それでは、みなさま良い新年をお迎えください。

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わけのわからなさを飲み込んで受け入れること/ルイス・キャロル(脇明子訳)『不思議の国のアリス』岩波少年文庫

わけのわからなさを飲み込んで受け入れること/ルイス・キャロル脇明子訳)『不思議の国のアリス岩波少年文庫:目次

  • 想像が不安と恐怖を呼び起こす
  • どんどん歩いてゆけば、どこかへはつくさ
  • わけのわからない世界に触れた記憶
  • 参考リンク

想像が不安と恐怖を呼び起こす

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は、「ユーモアと言葉あそびに満ちたイギリス児童文学の古典」(本書カバー)とうたわれるように、もはや内容について細かな説明を必要としない有名な物語である。

さて、わたしは大人になって初めて『アリス』の物語を本というかたちで読んだ。なぜならば、子どもの頃からずっと『アリス』に対して怖いイメージを抱いていたからである。

なぜ『アリス』に怖いイメージを抱いていたのかという理由だが、子どもの頃にディズニー版のアニメ映画を観たときに、「こんなわけのわからない奇妙な世界に迷い込んでしまうのはいやだし、自分だったらそんな世界から抜け出せないだろうな」という想像が不安と恐怖を呼び起こしたからだと思う。だから、子どもの頃のディズニー版の映画を観てからは、ずっと『不思議の国のアリス』を避けてきた。

※このあたりの経緯については、「2017年11月のまとめ」『オズの魔法使い』についての記事にも書きましたので、これ以上深くは書きません。

さて、大人の視点で読んでみても、『不思議の国のアリス』の世界は相変わらずわけのわからない奇妙な世界の物語だった。もちろん、そこには英語ならではの言葉遊びや駄洒落とユーモア、それに作者ルイス・キャロルとその身近な親しい人々とのあいだでのみ通用する冗談が満ちているから、日本語で読んでも完全にはその面白さが理解できないという理由もある。もちろん、日本語で読んでも十分に楽しめる物語であることは言うまでもないが。

けれど、上記のような理由は物語全体のわけのわからなさの理由のすべてではない。そもそも物語の展開や登場人物たちの言動それ自体が、わけのわからないものだからである。けれども、そのわけのわからなさを、ひとまず自分の中にしっかりと飲み込んで受け入れることが、この物語を読む上で大切なことではないかという思いを抱いた。


※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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