誤読と曲解の読書日記

読書の感想を書く日記です。あと、文具についても時々。

小説家の評伝がもっとあってもいい/2016年11月のまとめ

小説家の評伝がもっとあってもいい

岩波新書から出た『夏目漱石』(十川信介著)を買いました。まだ途中までしか読んでいませんが、夏目漱石の生涯をたどりながら、漱石の書いた小説の背景などを探る評伝です。

このような新書形式の小説家の評伝、もっとあってもいいなあと思います。もっとも岩波新書からは、正岡子規森鴎外太宰治など、近代文学者の評伝がすでに出されています。ただ、岩波文庫から出ている小説の数から言えば、このような小説家の評伝がもっとあってもいいのかなと思ったところです。

評伝とは、わたしの理解するところでは、小説家の生涯をたどりながら、ひとつひとつの作品を書いた当時の個人的社会的背景、その作品の小説家個人にとっての評価や時代的な位置付けを俯瞰できるような本と考えています。それは作品世界をより知るための手がかりとして、場合によっては小説作品そのものと同じくらいに、必要な人にとっては必要なものではないでしょうか。評伝を求めている人って、けっこういるような気もするのですが。

外国文学を読む上のひとつの手がかりとして

岩波文庫に限らず、文庫には後ろの方に解説として、作品の背景だったり、小説家の生い立ちが書いてありますが、もっと他の作品や小説家、時代背景や個人的な事情などが有機的に結びついた、1冊で俯瞰できる本があると便利だし、それを読んでいるだけで楽しいんだけどなあと思うのですが。

外国文学好きとしては、日本の近代文学の小説家だけではなく、外国の小説家の評伝ももっと岩波新書から出てもいいのかなあという気もします。せっかく岩波文庫からは優れた外国文学の古典級の作品が多数出されているのだから。岩波新書からは、すでに魯迅チェーホフドストエフスキーの評伝も出されてはいますが、江川卓氏の『ドストエフスキー』はすでに絶版になっていて、入手も困難です。

ただでさえ外国文学は読む人が少ない、人々の外国文学離れが進んでいる、みたいな話を聞きますが、おそらくは外国文学を読む上での社会的文化的背景を多少は知識として持っておかないと、その外国作品の魅力が読者に届かない、みたいな部分もあるのかなと。その部分を埋めるのに、評伝を新書で読めるみたいな環境が、もっとあってもいいかなと思ったところです。

前段に「外国文学を読む上での社会的文化的背景を多少は知識として持っておかないと」みたいなことを書きましたが、そんな知識がなくったって、面白い小説は面白いのですが。ただ、もっとこんなに面白い作品を書いた小説家のことをもっと知りたい、というニーズもまたあるような気もします。
Words, words and words

『誤読と曲解の読書日記』今月のまとめ

2016年11月に更新した『誤読と曲解の読書日記』記事は1本だけでした。なんだか忙しい月だったもので、更新は1本のみでした。。。


11月12日更新:善い行いが光を与える/W・シェイクスピア福田恆存訳)『ヴェニスの商人新潮文庫

記事リンク:http://nobitter73.hatenadiary.jp/entry/2016/11/12/200000

最近読み直した。たしかに面白い。先のストーリーが気になってページを早くめくりたくなる、というタイプの面白さがある。それに加え、善なるものや寛容を求める姿勢と、友人や夫婦といった親しい人を信頼する姿勢が、この物語を単なる面白いだけの物語にとどめることなく、一段と深みを持たせたものにしている。


それぞれの記事には、それぞれの本について、出版社ホームページとブクログへのリンクがあります。

『誤読と曲解の映画日記』今月のまとめ

『誤読と曲解の映画日記』は、管理人の”のび”が運営する、映画の感想を書くブログです。ご興味がありましたら、ぜひご笑覧ください。2016年11月に更新した『誤解と曲解の映画日記』の記事は2本でした。


11月5日更新:パーティーの余韻が残る庭/『レイチェルの結婚
記事リンク:http://nobitter73.hatenablog.com/entry/20161105/1478347200

レイチェルの結婚』は、家族の間に存在する大きな傷と、その傷を抱えた家族の姿を描く。しかし、人間は傷にとらわれたままでいるわけにはいかない。過去の傷は傷として抱えながらも、幸せでより良い人生を選び取って歩きはじめることも可能だと示している。


11月19日更新:虚栄心とプライド、そして破滅/『ブルージャスミン
記事リンク:http://nobitter73.hatenablog.com/entry/20161119/1479553200

落ちぶれたセレブがさらに救いようのないところまで落ちてゆくのを描く物語。ウォッカと精神安定剤を常に手にするジャスミンの、華やかな過去と痛々しい現実を対比させながら物語は進む。この物語のラストシーンはあまりにも悲しくて切ない。虚栄心とプライドで全身を塗り固めたジャスミンが、わたしたちの胸に痛みをもたらす。


それぞれの記事には、yahoo!映画と映画.com、そしてFilmarksへのリンクがあります。あらすじなどの参考にどうぞ。


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