本を愛するすべての人への物語/ガブリエル・ぜヴィン『書店主フィクリーのものがたり』ハヤカワepi文庫
本を愛する者たちが必死に生きる姿を描く
ガブリエル・ぜヴィン『書店主フィクリーのものがたり』ハヤカワepi文庫。30代後半で妻を亡くした偏屈な書店主フィクリーの心の角がゆっくりと丸くなっていく様子を描く。本を愛する者たちが必死に生きる姿が、じわじわとあたたかな感動を生む。たくさんの作家や小説に言及するので、読書好きはぜひ。 pic.twitter.com/64dVySQvAB
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
この物語の舞台は架空のアリス島。フィクリーの亡くなった妻の故郷であり、その妻が書店を開こうと持ちかけた。妻が悲劇的な事故で亡くなったあと、フィクリーは妻のいない日々を酒で埋めていた。妻の亡霊にしがみつくように。ある日、置き去りにされた赤ん坊を見つけたときから物語が動きはじめる。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
本屋のない町は、町にあらず
この物語は「本屋のない町は、町にあらず」という哲学が根底に流れている。もちろん、島にもネット通販や電子書籍端末が押し寄せてくるのだが、紙の本にこだわるフィクリーは書店を続けてゆく。書店の看板に掲げた「人間は孤島にあらず。書物は各々一つの世界なり」との理念を守るため。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
個人的に好きな登場人物は警察署長のランビアーズ。子どもの頃は本を読むのがのろいと教師に思われていたような人物だったが、フィクリーや書店の前に捨てられていた子ども・マヤの心配をして書店に出入りするうちに警察署の読書会を開き、本が好きだと宣言するまでに。彼の変化も魅力的だ。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
孤独だからこそ、孤独でないことを知るために
「ぼくたちはひとりぼっちじゃないことを知るために読むんだ。ぼくたちはひとりぼっちだから読むんだ。ぼくたちは読む、そしてぼくたちはひとりぼっちではない」。物語終盤のフィクリーの言葉が胸を揺さぶる。一行目と二行目が相矛盾しているようだが、我々が読書するときの心境を言い表している。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
このフィクリーの言葉、ある程度本を読んだ読書家ならば、「うわぁ、まさに本を読むってそういうことだよなあ!」と感じ入るはずだ。ある種の人々がなぜたくさんの本を読むのか、その理由や本質が現れていると言っていいだろう。孤独を抱くからこそ本を読み、孤独でないことを知るから本を読むのだ。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
壮大なブックガイド
『書店主フィクリーのものがたり』、全編を通じて作家や小説への言及がなされる。各章の扉にもフィクリーが関心を持つ短編小説のタイトルと短いコメントが記されていて、この物語自体がひとつの壮大なブックガイドだとも言える。ここから新しい物語へと手を伸ばすためのブックガイドだ。 pic.twitter.com/mdicDWdt5w
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
前投稿の手書きメモは『書店主フィクリーのものがたり』で言及された作家や作品をすべて書き出したもの。メモの字が汚いのはスルーしていただければ。読んだものも読んでないものもある。もちろん、ここに書き出した作家や作品をすべて知っておかなければ、この物語が理解できないわけではない。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
本を読むしかるべきとき
あっ、『書店主フィクリーのものがたり』で言及される作家や小説は知らなくても物語自体は十二分に楽しめるけど、訳者あとがきにあるように、フラナリー・オコナーの『善人はなかなかいない』だけは(読み終わったあとでも)読んでおいた方がいいかも。わたしは昔読んだが、内容は忘れてしまった。。。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
『書店主フィクリーのものがたり』の中で、「小説というものは、人生のしかるべきときに出会わなければならない。ぼくたちが二十のときに感じたことは四十のときに感じたことは同じではない。逆もまた然り。このことは本においても人生においても真実なのだ」とある。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
昔、フラナリー・オコナーを読んだときは精一杯の背伸びをして読んだ覚えがあるので、今こそ彼女の作品を読むべき時が来たのかもしれないね。
— のびゲートウェイ (@nobitter73) 2019年2月24日
参考リンク
1)ハヤカワ・オンライン/ガブリエル・ぜヴィン『書店主フィクリーのものがたり』
www.hayakawa-online.co.jp
2)筑摩書房/フラナリー・オコナー『フラナリー・オコナー全短編 上』
www.chikumashobo.co.jp
3)筑摩書房/フラナリー・オコナー『フラナリー・オコナー全短編 下』
www.chikumashobo.co.jp
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『誤読と曲解の読書日記』管理人:のび
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