【特別編】茶色いものの話/バルザック(石井晴一訳)『艶笑滑稽譚 第一輯』岩波文庫:目次
今回は特別編です。
バレンタインデーにふさわしい茶色いものの話です。
ルイ11世陛下のご遊楽
文豪バルザックは長編から短編まで実にたくさんの作品を書いているが、最近は積ん読にしていた岩波文庫の『艶笑滑稽譚第一輯』を読んでいる。多くが1830年代に書かれた短編だが、そこに描かれた人間の滑稽さや欲望を求める姿は、今の時代のわたしたちが読んでも実に笑える。人間はまこと愉快な存在だ。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
『第一輯』に収められた短篇の中では「ルイ11世陛下のご遊楽」が秀逸。これはルイ11世陛下は悪戯事が大好きな大変愉快な人柄だとした上で、そのご遊楽をいくつか紹介する形の短篇。あるとき、ルイ11世がお抱えの髭剃り役から枢機卿、スコットランド親衛隊長、高等法院の評定官などを集め会食を開く話。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。
いかに平静を保てるか
ルイ11世陛下は愛人と示し合わせ、あらかじめ腹が緩くなる薬を食事に仕込むが、会食に呼ばれた人たちが迫り来る便意を抱えながらも、いかに国王陛下の前で平静を装っていたかという内容。国王陛下の御前であるから、人々は畏まって平静を装うが、今にも出てきそうなものを必死でこらえるのだ。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
もちろん、ルイ11世は人々が迫り来る便意をどのくらい我慢できるかを試している悪戯を仕掛けているのだ。そんな目論見などつゆ知らぬ人々は便意をこらえ、あたふたするが、その様子さえもルイ11世のお楽しみなのである。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
けれども、生理現象には勝てず、ある者は陛下の怒りのこもったご詰問があまりに恐ろしく、思わず「己の下半身を包む衣服の中に揃って彼の物をこてこてと垂れ込めて」しまうのである。この短篇は、「心地良き脱糞に勝る喜びはまことこの世にない」と、高らかに宣言する物語である。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
こてこてと垂れ込める
衣服の中に「雲固」を「こてこてと垂れ込める」という表現がたまらなく風雅で良い。「こてこて」という擬音がなんとも言えない悲哀を表現している。「ぶりぶり」や「もりもり」でもなく、あくまでも「こてこて」と垂れ込めるのだ。この風雅が分からない人とは一生分かり合えないと言ってもいいだろう。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
そういうわけで、フォロワー諸賢におかれましては、これからは止むを得ずに衣服を身につけたまま脱糞してしまった際には、「あああ、雲固をこてこてと垂れ込めてしまった。。。しかし、脱糞に勝る喜びはこの世になし」としみじみと感じ入っていただければ、この上なく風雅でよろしいかと思います。
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
ちなみに、このバルザックの書いた「ルイ11世陛下のご遊楽」、このように翻訳さえもくそまみれの物語である。ページを開いただけで、風雅な香りさえ漂ってきそうで、まこと風雅であると言わざるを得ない。 pic.twitter.com/6zeLG4CGHN
— のび (@nobitter73) 2018年2月11日
参考リンク
1)岩波文庫/バルザック(石井晴一訳)『艶笑滑稽譚 第一輯』
https://www.iwanami.co.jp/book/b270812.html
2)ブクログ/バルザック(石井晴一訳)『艶笑滑稽譚 第一輯』岩波文庫
booklog.jp
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『誤読と曲解の読書日記』管理人:のび
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