トルストイ民話集を読んで、心の洗濯
【最近の読書から】
中村白葉訳『トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四編』岩波文庫。
中村白葉訳『トルストイ民話集 イワンのばか 他八編』岩波文庫。
トルストイ民話集『人はなんで生きるか』『イワンのばか』に収められた作品は、主に1885〜1886年頃、トルストイの晩年近くに書かれ、宗教的道徳的なテーマを単純・明瞭・簡潔な“民話”という形式で著したもの。
若干古くさい言い回しの翻訳部分もあるが(なにしろ初版が戦前だから)、小学生でも十分理解できる文章。
21世紀初頭の資本主義社会に生きる我々のような現代人の目から見れば、トルストイ民話集に収められた作品はいずれも理想主義的すぎるきらいがあるが、それだけに大人になって読み返してみると心が洗われる。
「こんな大人になってごめんよ、レフおじいちゃん」みたいな気分にさせられると言えるのかもしれない。
中村白葉訳『トルストイ民話集 人はなんで生きるか』岩波文庫。
本書の短編にはいずれも、冒頭や本文に聖書からの引用句が。その引用にまつわる民話が展開され、本書全体を貫く人間の愛と善のあるべき理想の姿を描く。
全編にわたって「Love&Peace!」みたいな感じで「愛と善だよね!」という人間に対する信頼感があふれているのだ。
以下は『トルストイ民話集 人はなんで生きるか』内の一編「火を粗末にするとーー消せなくなる」より、印象に残った一節を引用。
「もしだれか彼の悪口を言う人があっても、彼は決してそれ以上の悪口を返すことはしないで、相手に悪口など言わないように教えることを心がけた」。
ここでの「ばか」とは「愚直」ということだろう。素直になって真面目に働きなさい、他人のために善をなしなさい、そんな意味が込められているのだろう。それはまさに「イワンのばか」の人生を通じた生き方でもある。単純なことかもしれないけど、難しいね。
以下は『トルストイ民話集 イワンのばか』内の一編「作男エメリヤンとから太鼓」より、印象に残った一節を引用。
仕事について「もうだいぶやったろうか、どれくらい残っているだろうかなんて、あとをふり返ったり、さきを見たりしないほうがいい。ただ働きさえすりゃいいの。ちゃんと時間のうちには片づくからね」。
以上はtwitterへの投稿を一部加筆修正したもの。
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